三妙見社のひとつ太田神社

相馬太田神社名所旧跡

相馬地域には「相馬三妙見社」といわれる相馬氏ゆかりの神社があり、いずれも妙見神、すなわち北極星を神格化した星の信仰で知られる神を祀っていますが、南相馬市にある相馬太田神社も、相馬中村神社や相馬小高神社と並びその一翼を担っています。

相馬氏の祖先である平将門が合戦の際、妙見菩薩のお告げによって危難を救われたことから、それ以降妙見菩薩を氏神として祀るようになったのが、相馬氏代々に続く妙見信仰のはじまりといわれています。
鎌倉時代には相馬重胤が下総の守谷からここ陸奥の太田に下向しますが、その際に下総で祀られていた妙見菩薩の尊像をこちらに移して領内の総鎮守としたのがこの神社です。
明治時代には神仏分離令のため本尊は大甕観音に移され、改めて天之御中主神を祀る神社になったという経緯があります。
相馬野馬追の際にも境内で出陣式が行われ、甲冑に身を固めた騎馬武者たちの勇壮な姿を見ることができます。

神社の周囲は田園地帯が広がっており、その一角に相馬氏発祥の地の石碑があります。田園地帯なのでもちろん平坦な土地ですが、境内がある場所だけ丘のように高くなっていて、水の中に浮かぶ小島のような地形です。近くには太田川がありますので、実際にもかつての時代には浮島だったのかもしれません。ここは相馬氏の館もあったはずで、そうすると敵から攻められにくく防備もしやすい地形を好んで選んだのだろうという察しもつきます。中村神社・小高神社はそれぞれ城跡に鎮座していますが、こちらも舘の跡ということで、立地としては前2社と同系統ということもできるでしょう。

低地のほうからは境内に続く参道がのびていて、両サイドは太い杉の木がいくつか並んでいます。参道そのものは細くそれほど距離があるわけではありませんが、杉の木越しに社殿につながる石段が見える風景は、なかなか荘厳で心にずっしりとくる感じがあります。そして石段を上りきった先の正面に拝殿があります。
拝殿は明治時代のものらしいですが、脇にある絵馬殿ともども立派です。ほかにもいくつか境内社があります。
拝殿や本殿があるのが境内でももっとも標高が高くなっているこの石段上の区画なのですが、境内東側は少し標高が低くなっていて、こちらに駐車場や大きな社務所などが建っています。社務所では御朱印もいただけるそうです。
社務所のとなりには別にお堂のような建物がありますが、こちらはやはり、かつて別当寺を務めていた妙見寺星蔵院のお堂だそうで、現在は相馬太田神社の祈祷殿に転用されて使われているそうです。

ここはJR常磐線の磐城太田駅が最寄り駅ですが、さすがに歩いてここまで到達するには30分以上かかってしまい遠すぎますので、マイカーが一番よい方法だと思います。車であれば駅からも5分程度ですし、遠方から来る場合は常磐自動車道の常磐南相馬インターチェンジで降りてから約10分ほどになります。砂利敷きですが駐車場は境内にありますので、駐車に関しては特に心配するところはありません。

常磐線といえば福島原発事故の影響によって、富岡駅から浪江駅間はしばらく運行が休止されており、復旧が待たれていたところでした。この区間は20キロメートルほどあり、途中の夜ノ森駅、大野駅、双葉駅はいずれもいわゆる帰宅困難地域にあたっているため、いずれにしても人が立ち入ることはできなかったわけです。

この間夜ノ森駅、大野駅、双葉駅では地震で壊れた駅舎の復旧であったり、周辺地域の除染作業などが行われていたこともあり、ようやく復旧して全線開通となったのが2020年のことです。また運休期間中は電車にかわってバスが輸送の主力を担っており、地元を根城としている福島交通と新常磐交通が頼みの綱となっていました。特に地域内だけではなく、福島市やいわき市などの比較的大きな都市との間を結ぶ直行便もできたことは、地元にとっては幸いなことだったといえます。

いっぽうで陸の交通インフラとしてなくてはならないもののひとつに、鉄道にくわえて常磐自動車道があります。
東日本大震災でこの道路も大きな損傷を受けましたが、わずか数日で応急的な復旧を果たしたことで世界中から称賛されたことが思い出されます。私も当時近くにいましたが、橋の継ぎ目などで路面に大きな段差ができていて、とても高速走行など望めなかったところ、またたく間に段差が解消されていたのを目の当たりにしたことが印象深く残っています。
ようやく全線の復旧を遂げ、未開通区間の工事も終わって開通した常磐自動車道は、それでも福島原発事故のあった地域を通過するため、現在もモニタリングポストにより空間放射線量の測定が行われています。福島県内区間でも平均的には毎時1マイクロシーベルト未満の場所がほとんどですが、途中の原発近くでは2マイクロシーベルトになる場所もあります。もっとも災害発生直後の一時期とは違いますので、高速道路を通行するのに通行証を携帯する必要はありませんし、バイクの通行規制もありません。